yuraly-parsley

乙女女子と乙女男子のひみつのおはなし

2012-04-08

【Parsley】4月8日に生まれて

4月8日にParsleyはこの世界に生を受けた。5時30分ごろ、産道を通り過ぎ、光の中へと出でたということだ。後年、早朝の空気を好むのは、記憶に残ってない体験に因るものなのかもしれない。

ゴウダマ・シッタルーダが誕生したという日に産まれ、祖母と母が信仰するカトリック系の幼稚園に通った私は、神道系の大学に入学することになる。

カラカラ帝が暗殺されて、厩戸皇子が没し、アユタヤ朝が滅亡し、岡田有希子が新宿のビルからスーサイドした、4月8日。

「歴史は事実の羅列にすぎない」と書いたのはアナトール・フランスだけど、事実を事実と記したことが虚構だとすれば、ということを考えるような人間に、私はなってしまった。

この世界に生まれた感謝はない。ただ良く生きたい。そう強く望む日。

お誕生日おめでとうございます。

f:id:Parsley:20120408045041j:plain

2012-03-31

【yuraly】三月ウサギのお茶会

 

不思議の国のアリス」のなかで、
アリスが向かったお茶会を催していたのは三月ウサギ。

どうして三月ウサギは、「三月」なの?

答えはちゃんとあるけれど、それは英語のなかの話。

日本語で「アリス」を読んだ私は、なんで三月ウサギは、三月なの? と夢をみる。

誰かに訊ねたり、検索するよりも、夢をみる。

 

f:id:Parsley:20120331231611p:plain

2012-03-30

【yuraly】「三月姫」


 3月にはお姫さまが住んでいる。
 アクアマリンの薄水色をした服を着て、
けれどもまだ少し寒いから、白いレース編みのストールを流れるように纏っている。

 3月の誕生石はアクアマリンです。

 

「三月姫

三月は紅茶茶碗の淵に腰掛け
背後に陽光を隠しながら
たんぽぽがあくびをするのに気付いて
紅茶をぬくめ直し始める

かと思えばつめたい風が
回廊を通り抜ける
ストールを肩に掛け直して

そう
三月は気まぐれな
終わりと始まりの繋ぎめ
冬と春との捩じれた境界
上手くあの飛び石を渉ってゆける?
それとも
紅茶茶碗を持ち上げてお替わり如何?
静かに座って時が過ぎるのをを待ちましょう

三月うさぎたちが野の茂みに隠れて
イースタ・エッグとチョコレイトを
くすくすわらいながら置いてゆく
復活祭は
春分の日のあとの最初の満月の
その次の日曜日


薄荷塔のひみつを教えてあげよう
この回廊をぐるぐると昇ってゆけば
ひとつの小さな部屋がある
その部屋にいる三月姫
季節に置き去りにされたまま
長い髪を梳かし続けているのさ

   ■

次のおはなしはマーチ姉妹のことにしましょうか。

     from March to April

2012-03-25

【Parsley】ポストカードとロキソニン

f:id:Parsley:20120320144132j:plain

子供の頃から、よく熱を出す。

37℃ちょっとくらいならば、多少気だるいくらいで、熱のうちに入らないからいいとして。

おとなになった今でも、月に一度は高熱を出す。

ひとりのときに、変な汗が背中を伝い、関節が悲鳴を上げる声をなだめつつ、体温計を脇はさむ時の、心細さといったらない。

そして、数分後に、水銀を滑らして取り出す時の、血流が早まる感覚。98%の不安と、2%の期待、のようなもの。

「38.7℃…」

スマホでtwitterに書き込んでから、頭から布団を被る。

 

二日後。37℃後半で落ち着いたけれど、三半規管はまだ正常には働いていない。

やっとの思いで郵便受けに行くと、お手紙が来ていた。

中には、色とりどりのすみれが一面に描かれたポストカードと、ロキソニン

すみれの花言葉。ちいさなしあわせ。

プリンと一緒に飲み込んだ一粒は、喉にしっかりとした異物感を残して、食道から胃へと、落ちていった。

 

 

2012-02-29

【Parsley】うるわしのカルディコーヒーファーム

f:id:Parsley:20120229205026j:plain

 カルディはすてき。

 何がすてきか、っていえば、入口で店員のお姉さんが紙コップのコーヒーを渡してくれるの。これが舌触りがよい上にほどよい甘さで、ほんとうに美味しい。あまりに美味しいあまりに、自宅用のコーヒーもマイルドカルディを挽いてもらうようになったくらいだ。もうインスタントコーヒーには、戻れない。

 それに、輸入食材がたくさん置いてあるから、見ているだけで気分が浮きたってくる。ハリボーのグミとか、タイ製のグリーンカレーの素とか。いかにもアメリカなお菓子の数々も、添加物のことが頭をよぎるけれど、その背徳な感じも含めて楽しい。

 パスタの種類が多いのもいい。スパゲティやニョッキや、ペンネ。ソースもノンブランドのレトルトから、ホールトマトまで揃っている。たまに贅沢して生ハムに手を伸ばしてみちゃったりして。

 そして何より、お財布にやさしい。キャンベルスープが150円で手に入るんだもの。ドライマンゴーも200円台で買える。朝、ヨーグルトの中で柔らかくなったマンゴーを口にした時のうれしさといったらない。少なくとも、一日のはじまりとしてはサイコー。

 お客さんを呼び込む声や、がりがりと豆を挽く音。ちょっと日本じゃなくて、海外の食材屋さんのような雰囲気で、旅行先で立ち寄ったような気分も味わえる。

 やっぱり、カルディはすてきだ。

 

 カルディコーヒーファーム

 

 

2012-02-26

【yuraly】四条河原町、23時

 

 高校生だった。夜が好きだった。
 夜はいい。明日に追いつかれないように、ゆっくり、ゆっくり、夜を歩いた。
 四条通りを重い鞄を持って歩く。夜はまだまだあるよ、まだまだずっと夜だよ、って教えてくれる。夜はいい。
 16歳だった。16歳だったが、エクセルシオールカフェは、私にサングリアの小瓶を売ってくれた。あの無粋な「年齢確認が必要な商品です」という警告を、レジスタは発さなかった。あの頃は、そんな機能は無かったのだ。

 2階の隅っこの席に座って、化学の参考書とペンケースを広げてぼぅっとしながら、細いガラス瓶のサングリアを飲んだ。適当に蛍光ペンを時々参考書の行に引いた。何が大事なんだか何にも分からないままに。
 誤算だったことは、その飲み物は炭酸を含有していたこと。私は炭酸は苦手だ。口のなかがぴりぴりして痛いから、嫌い。私いちおう、植物じゃないから、二酸化炭素なんて取り込めないよ。
 携帯電話がちょっとごっつくて、そして画面は安っぽい少ない色数の点で成っていて、そんな携帯電話があったこと、ねえ、覚えてる? それともあなたは知らなかったりして。一応カメラ機能は付いていた。すっごく小さいサイズの画像しか撮れないの。でも少し鈍い銀色を混ぜた水色の携帯電話、好きだった。中学のときに転校していった友だちがくれた、ストラップとか、3つか4つ、ぶらぶらしている。
 サングリアを、少しずつ飲んだ。アルコール分はたぶん7%くらいで、全然そんなの平気だけれど、誰かが来て見咎めて補導されたらどうしよう、なんてちょっとだけぞくぞくしながら飲んだ。やっぱり炭酸は、口のなかをいじめる。痛いじゃないの何するの。でも果物を飲んでいるようで、あじは美味しいと思った。

 

 四条河原町の角っこで配布している茶髪のお兄さんに押し付けられたポケットティッシュは風俗のもので、あからさまな色使いで派手ですごく下品だ。でもティッシュを他に持ち合わせていなかったので、それを出して目尻を拭った。涙のしずくを無かったことにするために。

 

 センチメンタル・ファッキン。
 ガールズ・メイド・イン・ヘヴン

 

 ドラッグストアで買ったものたち。安全剃刀の箱の側面に「取り扱いにはご注意下さい」と、書いてある。ご注意、致しますよ。

 センチメンタル・ファッキン。
 ガールズ・メイド・イン・ヘヴン
 取り扱いには充分ご注意ください。

 

 このティッシュに記されている番号に電話したら、私どうなるのかな。私の部屋が、出来るのかな。それで……考えるのを止めた。きっと私出来ない。何をするかとか、その行為がどうこうとかじゃなくて、私きっと上手く出来ない。
 やがて携帯電話の時計の表示が23時に近くなり、それはエクセルシオールの閉店時間だった。私は哀しくなりながら参考書を仕舞って荷物をまとめた。夜が約半分が過ぎていってしまって、家には早く帰らないと訝しく思われるし、夜はたゆむことなく終わりに向かって進んでいる。

 明日はきっとまた、がっこー、遅刻する。してしまうだろうな。事務室のひとに、叱られるんだ。あと3回遅刻したら、生活指導のせんせーと個人面談だ。あ、いや親に電話が掛かってくるのかな。たまらない。たまらないです。たまりません。

 

 16歳だったとき、私は夜の街をさかなのように泳いで、陸地を探していた。本当は飲み干したサングリアの瓶のなかに閉じ込められてしまいたかった。夜や、街や、家や、学校や、そういう色々なものに閉じ込められるくらいなら、サングリアの赤い瓶のなかに入って、そのうす赤いガラス越しにぼぅっとしたかった。そのときは本当に、ただ、ぼぅっとしたかった。何も話さず。息をしているだけの日々が、終わりが見えないくらいに連綿と続いていた。

 

f:id:Parsley:20120226183709j:plain

2012-02-22

【Parsley】午後10時、原宿キャットストリート。

f:id:Parsley:20120222222700j:plain

 

 昼間の喧騒がまるで嘘みたい。

 煌々とアスファルトを照らす街灯の下を歩いているのは、じぶんだけ。まるで街をひとりじめにしたよう気持ちと、世界中でひとりだけになったようなちょっとだけの不安を抱えて、足取りは自然と早くなる。

 眠りについた店たちを横目に、記憶が逆巻く。

 キティランドではしゃいだあの日。雑貨屋さんでけんかしたあの日。あのカフェでは、待ち合わせの時間からずっと遅れてきたきみを、苦笑して許してあげたっけ。

 すれ違う人も誰にも遭わない、午後10時のキャットストリート

 アスファルトの冷たさ。街灯の暖かさ。星は見えないけれど、きっとじぶんのことを見ていてくれている。

 ひとりでも、歩けるようになったよ。

 渋谷の喧騒までは、もう少しで、着く。